2024年度第1回ボイタ研究会症例検討会報告
 
日時:202410月19.20
会場:福島整肢療護園
講師:山﨑 直信先生
参加者
池田なぎ美、富樫和美(横浜市西部地域療育センター)、高橋花菜(ケアポートみさわ)、山元紀子(川崎市南部地域療育センター)
金城 歩(古河市児童発達支援センターぐるんぱ)、杉下由貴(多機能型重心児デイサービスどんぐり)、
石井康朗(新潟県立中央病院)大畑真一(聖ヨゼフ医療福祉センター)、
竹原祥平、渡邉桃子、安倍ともか(愛正会記念茨城福祉医療センター)、
鈴木健祐、相澤幸代、時郁(福島整肢療護園) 、
見学:7名
 
福島症例検討会に参加して
 今年度第一回目の症例検討会に福島療護園(10/19,20)に参加しました。
2ブロックの方を中心に、コース中の方から、ベテランの方まで幅広い経験年数の参加者(14人)となりました。
みなさんそれぞれ気づくことや質問など、経験年数に関係なく、積極的に発言され、活発なディスカッションが行われました。
みんなが協力して治療しつつも、山﨑先生から、患者さんの変化をだすためにどのように出発肢位を取ってゆくのか、ソフトな刺激の入れ方、そのための手の形などのアドバイスがありました。
また福島療護園の若手職員の方や、近隣の職場の方、茨城の病院の方など見学者(7人)も多く、患者さんの変化に驚いたなどのり感想がきけて、大変有意義な検討会でした。
 
聖ヨゼフ医療福祉センター
大畑 真一

症例検討会感想
横浜市西部地域療育センター 池田なぎ美

1019日・20日に福島整肢療護園にて実施された症例検討会に参加しました。約1年ぶりのボイタ研究会の症例検討会ということもあり、周りの先生方の評価の視点・問題点の絞り方・プログラム立案の仕方・治療技術を学びたいという思いで参加させていただきました。
2日間で福島整肢療護園と茨城福祉医療センターの患者様4名の方に協力をしていただき、私自身2名の方に直接治療もさせていただくことができました。治療をする中で改めて感じたことは、ZONEを丁寧に探すこと・圧をかけ続けるだけではなく相手の呼吸に合わせて緩急をつけること・次にどのZONEを使うのが効率的なのかを考えながら治療の展開をしていくことの3点です。今回の症例検討会では、ZONEの場所を修正していただきながら、圧のかけ方や自分の姿勢の修正まで細かく指導していただけたため、とても手ごたえを感じることができました。また、日々の臨床では理想的な出発肢位にとらわれすぎて、その姿勢を目標に治療を進めていたことに気が付きました。しかし、今回の症例検討会を通して、特にR-UⅡ相での脊柱と肩甲骨の位置関係・筋の伸張具合を意識しながら治療を進めることができ、かつその手ごたえも感じることができたため、今後の臨床に活かしていきたいと思いました。直接、自分が治療にあたらない場面でも、自分ならどのように治療するか・反応はどこに出てきたか・姿勢がどのように変化してきたかなどを考えながら見学させていただきました。自由に動き回り、様々な角度から見学することができたため、先生方の位置取りや体の使い方も勉強になりました。
今回の症例検討会で、機能的な治療目標と生活目標の設定の難しさを感じた場面がありました。症例の中に、数歩の独歩は可能ですが普段はPCWで校内移動している一般級に通う小学校2年生の方がいました。私が担当している地域の学校(一般級・個別級)に通うお子さんの場合、就学前に自走型車椅子を作製し、通学路・校内自走、移乗自立を目指しながら、生活上実用的な立位を目標にするお子さんが多いです。今回の症例は、自走型車椅子を持っていますが自走する機会は少なく、自力移動は学校内と自宅内がメインということもあり、伝い歩き・ロフストランド杖歩行が目標とのことでした。機能維持向上を目指しながらも、生活環境や背景を考慮した自立のための目標設定や治療の進め方について考えさせられる症例でした。
最後になりますが、山崎先生はじめ、ご協力いただいた患者様・ご家族の皆様・先生方、参加された先生方、ありがとうございました。

講師からのコメント
山﨑 直信 先生 

2024年度第1回目の症例検討会の感想文を書いて頂きました池田先生、ありがとうございました。症例検討会の中で印象に残ったところをポイントを押さえて具体的に書いて頂き、私も改めて勉強になりました。
当日は、参加された皆さんから積極的にいろいろな意見や工夫を頂き進めていくことが出来ました。何より、4名の症例の患者様とご家族の皆様が大変協力的で、普段からの担当PTの先生方との信頼関係の大切さを改めて感じました。
まだまだコロナや感染症の対応に気を配ることが多い中で準備して頂いた、福島整肢療護園のスタッフの皆様と、遠くから患者様にご協力頂いた茨城福祉医療センターのスタッフの皆様にお礼を申し上げます。
さて、池田先生の感想文を拝読し、感じたことを2点書かせていただきます。
一点目は、「自由に動き回り様々な角度から見学できる」対面での症例検討会の大切さを改めて感じました。実際の患者様の反応や変化を共有しながら意見を出し合うことで、各自の考えが深まり、それぞれの気づきがあると思います。例えば、感想文の中にある「相手の呼吸に合わせて緩急をつけること」も、文だけを見るといろいろな捉え方があるかもしれません。逆にー呼吸に影響されずに誘発帯の圧や方向を保持することーが大切ということもあると思います。検討会の中で実際の患者様の変化を見て自分なりに感じたことや気づいたことを、各自の臨床の中で実践して、それが良かったのかどうかを再度考えていくことが症例検討会の意義のひとつだと思います。
二点目は、池田先生が普段の臨床でも「機能的な治療目標と生活目標の設定」を大切にされていることが感じられ、勉強になりました。協調性複合運動体の中で、立ち上がりや車いすへの移乗動作においても大切な脊柱の軸伸展と回旋、四肢の支持と起き上がり・相運動を誘発できることが、ボイタ法の特徴だと思います。しかし、単にボイタ法を行うことだけが目的にならずに、その患者様の身体の状態と生活環境に応じた目標設定をしっかり考えながら行っていくことが大切だなと再度認識しました。PTとして当たり前の事ですが、ついつい忘れている時があることを反省しました。
以上、池田先生、福島でお世話になった皆様、本当にありがとうございました。また、症例検討会やリフレッシャー講習会で一緒に楽しく勉強していきましょう。よろしくお願いいたします。