2021年度ボイタ研究会症例検討会報告
日時:2021年10月30日(土) 10:00〜
講師:山﨑直信先生(大阪赤十字病院附属大手前整肢学園)
参加者:18名
伊藤 三和子(大口東総合病院)、齋藤 司(自宅) 、小嶋 優加子(よこはま港南地域療育センター)、
仮屋成美、松元 彩乃、有馬由貴(国立病院機構南九州病院)、大畑真一(聖ヨゼフ医療福祉センター)
分木ひとみ(びわこリハビリテーション専門職大学)、草下 香(自宅)、原 正樹(総合療育相談センター)
出野 智子(青木医院)、橋本 尚幸、橋本 真澄(静岡済生会療育センター令和)
松澤 裕美子(東部地域療育センターぽけっと)
荒井千晶、小寺晶子、由上隆士、牟禮 努(大阪赤十字病院附属大手前整肢学園)
症例検討会報告
ボイタ研究会ニュースNo219でもお知らせしましたが、今年度の症例検討会はコロナウイルス感染拡大の影響を受けオンラインでの開催となりました。具体的には事前に大手前整肢学園の職員のみで行なった症例検討会の様子を動画撮影し、それを使って行いました。はじめての試みであり、動画撮影についてもうまくできるかすごく不安でしたし、なにより、患者さんの評価や問題点の抽出、治療について動画でうまく見ることができるのかが不安でした。
今回症例検討会に協力してくださった患者さんは、集中訓練目的で入園中の室内歩行可能な20歳代脳性麻痺アテトーゼタイプの女性の方です。動画撮影は検討会の初めから終わりまで撮影し、それを治療前評価、治療中、治療後評価に分けました。具体的には治療前評価として、歩行、上肢粗大運動、片脚立位、伝い歩き、TUGテスト(Time Up Go Test)、上肢巧緻動作を行い、ボイタ治療としてR―U1相、R―K、1position、を行いました。治療後は時間がなくなり歩行、上肢粗大運動、片脚立位、TUGテスト(Time Up Go Test)、上肢巧緻動作をバタバタと行った感じです。それら各々の場面に分けた動画を山﨑先生にお渡しし、当日進行してもらうようにしました。
当日、山﨑先生が治療前評価から参加者みんなにどのように分析するかをうまく聞いてくれて、すごく色々な見方があるのも勉強になりましたし、動画ならではの繰り返し見ることができたり、ゆっくりコマ送りも行えるので、すごく評価する視点の幅を広げることができました。また、治療場面では、今回2カメラを準備し、一つは固定で原則上から全身を撮影し、もう一つはハンディで局所を撮影するようにしました。実際ではない動画のみだったのですが、山﨑先生がうまく見るポイントを示しながら進行してくださったので、参加者の方々から頭軸のずれや、出発肢位の崩れの指摘もあり、治療についても十分検討することができました。その中で面白いものもありました、それは、山﨑先生が1positionをされていたのですが、顔面側上肢の肘の屈曲がすごく強くなっているのは前方から撮影した動画ですごくよく見えているのですが止めている山﨑先生は全く気づかなかったと言われ、うちのスタッフに言われて初めて気がついたとのこともきっちり撮影されていました。インストラクターの先生でも見れてないこともあるのだと少し面白かったです。あと何と言っても凄かったのは、草下先生です。評価についても、治療についても、的確に見られていて、治療後の歩行についても、私は全体的な姿勢の変化と上肢の緊張の変化ぐらいしか見れていなかったのですが、草下先生は足部の状態の変化や足趾の状態まで動画で分析されており、そこから歩行における足底接地の状態の変化から全身の姿勢の変化に結び付けられていました。また、私の1positionの治療場面に至っては肩峰が止まっていなくて尾側方向が足りないから姿勢が安定しないと指摘を受けました。見る人が見れば動画でもzoneの場所や方向が見れるのだとびっくりしました。
今回、コロナの影響でいつもの症例検討会とは違う形の検討会になりましたが、実際行ってみて、動画ならではの繰り返し見ることができるメリットがあることが分かりました。これは検討会後に山﨑先生から参加者みんなに感想を聞いていた時にも出ていました。もちろん実際集まって行う検討会が良いと思いますが、動画撮影されたものでも色々勉強できる事が多くあることが分かりました。
今後コロナが終息し、また各施設で検討会が行えるようになったとしても、このオンラインによる検討会も事業の一つとして残しても良いのではないかと思えるような、内容の濃い検討会でした。
参加してくださった会員のみなさま並びに準備段階から当日の進行まで上手くまとめて下さった山﨑先生、本当にありがとうございました。
大手前整肢学園 牟禮 努